第五話 〜ガンヴ〜■ 第五話 〜ガンヴ〜■


All human existing in the world. Hear a voice of God.
誰もが強いわけではない。
だから人間は助け合うことが出来る。

誰もが強いわけではない。
だから必死で生きていくことが出来る。

全てはうまく出来ている。
それが世界の秩序と言うものだから。
                       Ustegnihs.T.Trans
Where does the world begin to move towards? What does the world plan? All began from here…….
All truth on darkness. You yet know nothing.
Let's tell all truth here.



 青い空。それは晴天の空。
 赤い空。それは夕焼けの空。
 黒い空。それは夜の空。
 灰色の空。それは雨雲に包まれた空。
 灰色の空。それは……煙に包まれた空。
 紫色の空。それは……死の空。

 王都は確実に劣勢。街は火の海に包まれていた。もちろん消火をしている人もいる。敵と戦っている人もいる。
 誰一人サボっているわけではない。それでも劣勢と言う状況は変わらない。
 ……今では逃げまとう人もいない。王都の住民全員が一丸となって相手に立ち向かっている。……劣勢は変わらない。
 ……何故劣勢なのだろうか。これだけガンバッテ何故劣勢なのだろうか。
 全員が頑張ってる。必死で立ち向かってる。でも……結果は……。
 俺達は皆を救いに来た。……本当に救えるか? いや……その考えはよくない。劣勢な状況だろうと屈しない。
 劣勢は……くつがえる! 俺達がくつがえす! 王都のみんながあきらめていないように、俺達もあきらめない!
 この街は……救えるんだ!!!


「ここは?」
「ここは……地下部屋!!! ハクアさんはここの存在を知っていたんですか!?」
「はい、知っています。この場所が街から少しはなれたところにあるということも」
「だったら、どうしてこの地下部屋に来たのですか!? 直接街に行ったほうが……」
「……ハッキリした状況が分かりません。アデリアさんの意見も分かります。ですが、私達が倒れては元も子もありません。
慎重に行くことも大切です」
「少し取り乱してしまいました。……すみません」
「……成すべきことをしましょう」
 ハクアの言うとおりだ。俺達は王都を救いに来たんだ。倒れては意味が無い。急がば回れってことわざもあることだしな。
 慎重に……でも急いで行こう。
「アデリア〜。出口はどこなの? あたりを見渡してもどこにも無いよ??」
 はぁ? 出口が無い? 羽衣は何を馬鹿……な……、ホントに無いみたいだ。んじゃあ俺達はどっからでたら良いんだ!?
「大丈夫だよ、滝、羽衣。出口はこっちにある。
この地下部屋は特別なところだから、出入り口を隠してあるの。出入り口を知っているのは、私を含めそんなにはいないの」
 見渡してない理由はそれか。たしかにさっきのアデリアとハクアの会話を聞いていると、ここが普通の場所じゃないことが分かる。
 一部の人しか知らないみたいだから、ここに敵が侵入する確率は低い。だから安全だと判断し、ここに来たんだろう。
「上は……どうなっているんだろう……」
「少なくとも良い状況ではないだろう。……この状況でも分かるように……」
 今の俺達の状況。俺達は地下部屋にいる、この……熱い地下部屋に……。
 最初ここに降り立ったときは、それが普通に思った。でも……次第に分かってきた。明らかに地表とは温度が違う。
 それに、酸素が少ない。ここは地下だ。地表よりはもともと酸素は少ないほうなんだろう。それに加えこの暑さ。さすがに
異常だと考える。地上で火が使われている。……それが原因だろう。王都からは少しはなれた場所にいるのにこの暑さ。
 それだけ火の規模が大きいということだ。
「早く行ったほうがいいんだろうな」
「だね」
 俺達もやばい状況にある。ずっとここにいればおそらく……。早く出る必要があるといっていいだろう。
「再度言いますが、ハッキリとした状況は分かりません。慎重に行く必要があります。……サーシャ!!!」
 すると目の前にあの少女が現れた。たしか……ハクアの化身だったんだ。普通本体がいるのに化身……これ以上は別にいいか。
 ここは地球とは違う、そう言うことなんだろう。
「この子は……あ! 滝ちゃんと戦ってた子だ」
 俺は軽くだが羽衣とアデリアに説明してやる。
「なるほどね。さっきハクアが言ってた化身がこの子……サーシャちゃんってわけね」
「化身を作り出せるなんて……すごい技術……。さすがこの世界を守ってきたって所はあるんだね……」
 二人とも飲み込みがある程度早くて助かる助かる。あとは……。
「ここの指揮はさ、……アデリアがしてくれないか? ほら、俺はさここの王都にはあまり詳しくない。
より熟知している人が指揮をするほうが効率が良い。それに……守りたいんだろ? 今度こそ。自分の大切なものを。
そのために俺達を動かしてくれないか?」
「私が……指揮を……する……。王都を……救うために……?」
「確かに、真月の血を受け継ぐ者の言うとおりかもしれません。今の状況は分からない、しかし危険な状態と考えていいでしょう。
一刻を争います。土地勘がある人が指揮するのは決して悪いことではありません。アデリアさん。私も王都を救いたいと考えて
います。力を……貸してはいただけないでしょうか」
「……王都を救うため。……分かりました。私が指揮してみます! 皆さん不束者ですが……よろしくお願いします!」
 アデリアがペコッと頭を下げる。……決まりだな。俺はアデリアの頭をなでてやる。アデリアは恥ずかしそうに俯く。
 俺もよく母さんにやられたもんだな。重要なことを決めたとき……必ずなでてくれた。これは俺にとって励ましの意味がある。
 アデリアが指揮をする、仲間として応援するのが当然だろう?
「じゃぁさぁ、具体的にはどうしたら良いの私達は?」
「まずは、地上に出る。状況も分かってないから……。一度外に出てみて、状況をある程度把握してからと言うことでどうかな」
「それが得策ですね。状況の把握は一番の近道と思われます」
 俺達は外に出ることにした。外がどういう状況か、外でどうすればいいのか。早く見つける必要がある。時間は……あまり無い。
「では、行きましょう!」
 アデリアが先頭でドアを開ける。
 ……熱い空気が頬をなでる。夏のような暑さではない。サウナのような暑さではない。お風呂のような暑さじゃない。
 ……火の暑さ。それは感じたことの無い暑さ。全ての大気が火に包まれ、全ての空気が火に汚染されている……。ゾッとする。
 体が異常を起こしているような感覚がする。感じたことの無い暑さに戸惑っている。……対処法を知らない。初めてのことだから。
 異常なのは暑さだけではなかった。
 空の色。紫色に包まれている。
 よくわからない空。見たことのない空。……怖い空。何をどうしたらこんな色になるんだろうか。紫色なんて、早々使われる
色ではない。絵の具でもそうだ。紫を多く使っている子供を見たことがあるだろうか。紫なんてそう多く使わない。
 ……その紫に包まれている空。全てが悪い方向に向かっているのか? ……そうじゃない。俺達には希望がある。皆がいる。
 あきらめたらそこで終わり。しかしまだあきらめていない。先はまだまだ続く。……俺達の希望は途切れていない!

「思った以上か……。特にこの変な暑さと、空の色だな」
「……見たこと無いねこんな色は……。滝ちゃん、ちょっと怖いよ……」
「おそらく、空気中のものが全て巻き上げられているのでしょう。だから異常な色になっている……」
 全てを巻き上げてるか……。それすらも信じがたい。そんなことが可能か? 仮に巻き上げたとして紫色の空になるのか?
 まぁ実際そうなっているんだからしょうがないのだが……。たぶん理論的なことは通じなんだろう。
 特に俺のような頭ではまったく持って理解不能だ。
「とりあえずこれから陛下の元に行こうと思うんだけど……いいかな……」
「言ったろ。アデリアが指揮をとるんだ。……自分の最善を尽くそう」
「ありがとう……滝。よし! まずは陛下の元に行くことにする!」
 行き先は決まり。あとは……どうやってそこまで行くかだな。……平坦な道なわけがない。
「具体的にはどうするの?」
「まずは最短ルートで陛下の元まで行く。その後は……行く先々で決める」
 陛下までの道のりに関しては大丈夫だろう。なんせアデリアがいるんだからな。
「うん……大丈夫……やれる……やれる……。よし! 行こう!」
 俺達にとって、王都にとって、世界にとって……長い一日が始まった。

 地下部屋から王都はそんなに離れてはいなかった。走っていたから……2分くらいか、それくらいで王都についた。
 その道のりも酷かった。まずは火山。噴火寸前。学校の教科書で噴火した絵は見たことあるが。実際にこんなものを見る
のは初めてだ。
 ……危険、それしか頭をよぎらない。この暑さの原因はあの火山にもあるんだろう。
 地表もすごいことになっていた。掘り返されてると言えばいいだろうか。とにかく地面はめちゃくちゃ。道と言う道がない状態。
 舗装されていない道……そんな感じかな。とにかくいたるところに石やらなんやらが落ちている。草なんか何も無い。
 緑と言うものが無い。……崩壊してしまったような……そんな感じを思わせる。早くしなければ!
「これが……これが王都なのか!?」
「数日前に着たばかりなのに……」
 これが……戦争! こんなことが許されるのか!? こんなことがあっていいのか!? よくないに決まってるだろ!!
 人は戦争をするために生を受けたわけではない! 人は生きる権利がある。なのに……なのに!!!
「ここ数年大きな争いはなかった。……いや、大きく言えば、私達が旅をした依頼これほどの争いは起きていない」
 ハクアが旅をしてから……、何で今こんな争いが起こるんだよ……。何で今なんだ!?
「行こう皆! 私達がやらなきゃ!」
 ……少しナーバスになってたみたいだな。俺らしくないな。アデリアの言うとおり、今俺達が動かなきゃいけないんだ。
 みんなの支えとなるように頑張るんだ。救うためには行動しないとな。
「王宮まで行こう。陛下はおそらくそこにいるんだろ?」
 アデリアは頷く。まずは陛下を守らないと。今目の前にも戦っている人々はいる。でも……陛下優先だ。
「……後で助けに来るからそれまでは……!」
 俺は胸に打ち込む。この人たちを。戦っている人たちを。頑張っている人たちを。必ず……助けに戻ってこよう。それまでは
頑張ってくれ!
「滝ちゃん! 行くよ〜!」
「ああっ。っ!!! 羽衣あぶない!!!」
 俺は羽衣の背後に回りこみ、敵と思われる攻撃を防ぐ。と言うか……敵だろうな。街を襲っている奴らだ。俺達が来たこと
に気づいたのか!? 思ったより早かったようだ。……簡単には先に進ませてくれないということか。
「滝、羽衣大丈夫!?」
 俺達は頷く。でも敵はそんな時間すら待ってはくれない。……来るぞ!!!
「……走ろう! 障害になる敵だけ倒していければいい!」
 それが得策だな。奴らの強さも分からない、奴らの数も分からない。むやみにここで体力を浪費するわけにはいかない。
「俺がしんがりを勤める。アデリアは誘導を頼む!」
「では、アデリアさんに近づく敵は私とサーシャで排除します。アデリアさんは王宮への道をたどることに専念してください」
「私はアデリアを全力でサポートするよ!」
 一刻も早く王宮へ! 王宮までの道のりですらこれだけの数。王宮にはそれ以上の可能性が高い。いくら兵士が多くいるとはいえ、
さすがに街の状況を見れば劣勢であることが分かる。それに相手はGMウイルスに関係している奴らだ。……簡単には終わらない。
「くそ! 次から次へと! 一体どれだけいるんだよ!」
 しんがりだけでこれだけの量だ。前衛はもっと多いんだろうな。だが、今は自分の仕事をやるだけだ。
 集中しろ……クールになれ……。
 ん? ……今剣が光ったような……? 気のせいかな? 剣が光るわけないよな。きっと何かが反射したんだろう。
 敵を倒すことだけを考えろ……。王宮に行くことだけを考えろ……。早く……早く……。
「王宮が見えてきたよ!」
 俺は羽衣の声で吾に返った。上を見上げる。こんなに近くまで走ったのか。まったく気づかなかった。
 城下町から王宮まではそれなりの距離がある。しかも坂になっているから余計体力を使う……はずなんだが。……そっか羽衣か。
 ここまできたらあと少し。更に集中していくんだ。みんなの背中は俺が守り抜く!!!
「あと一息だ!!!」
 俺は皆に声をかける。この山場を越えればすぐそこだ。全員そろって陛下の元に行くんだ。そうじゃないと意味が無い!
 誰かを犠牲にする? そうじゃない。誰も犠牲になんてなっちゃいけない。俺達仲間も、町の人も、王宮の人も。
 犠牲にしていい命は無いんだ。……一刻も早くたどり着くんだ。犠牲は……これ以上出してはいけないんだ……。

 王宮の目の前にいる。ほんの少し前にも同じ状況にあったことがある。初めて王宮に来たとき。
 門番に人に取り次いでもらったっけ。そんで王宮に入って、陛下にあって……。
「当然ながら門番はいないんだよな」
「たぶん……陛下の下へ行ったんだと思う。或は城下町の援護か……」
 城下町のほうにも兵士はいた。それが門番かどうかは分からないが、結構な量の兵士がいた。じゃあ陛下の周りは?
「一応、専門の警護がいる。でも数はそんなに多くない。一斉に攻められたらたぶんは……」
「まだあきらめちゃダメだよ! 簡単にあきらめちゃダメ!」
「羽衣さんの言うとおりです。まだ何も終わってはいません。……これからです」
 そう、終わっちゃいない。まだ争いは終わっちゃいない。王宮に入って陛下の無事を確認しないと。
「……入ろう」
 アデリアの合図で王宮内に入る。最初は煙やらなんやらで前が見えなかった。でも次第に晴れていく……。
「っっっ!!!!」
 アデリアが崩れた。……さすがに酷い状況だ。これが王宮内だと!? 兵士は何をしてたんだ!? 兵士のほとんどは
王宮にいたんだろ!?
「アデリア……大丈夫?」
 羽衣がアデリアに近づこうとした。そのとき!!!
「貴様らは誰だ……」
 一人の剣士が羽衣とアデリアに剣をつきたてた。敵か!?
「剣を捨てろ! 羽衣たちに手を出すな!!!」
「ん? この声は……、真月の血のものですか?」
 剣士は剣を収めた。なんだ? どういうつもりだ? 俺のことを知っているのか?
「名乗り遅れて申し訳御座いません。私、陛下の護衛隊隊長を務めております、名をクラードと申します」
 護衛隊? そういえばさっきアデリアが言ってたな。こいつがその隊長と言うわけか。しかし他の隊員は?
「他の隊員はどこに?」
「他のもは全て陛下の護衛に当たっています」
「陛下は無事なのですか!?」
 アデリアが突然大声を上げる。一番陛下を気にしてたのはアデリアだからな。
「はい。無事です。……ところでナチュレ様は今どこに?」
 ??? ナチュレ様?? 誰? 俺の知り合いか?? それとも他の奴の知り合いか??
「確かナチュレ様も一緒にいかれたような……」
「私ならここにいますよ」
 アデリアが返答する。んん??? それも意味が分からない。何でアデリアが答えてるんだ? ナチュレ?? アデリア??
「あっいえ、貴方ではなくてナチュレ様を探しているのですが」
「ですから私はここです」
「ちょっとタンマ! 話を整理しよう。まずクラードさんはナチュレと言う方を探しておられる。間違いないですよね?」
「はい、そのとおりです。ちなみに私のことはクラードでかまいません」
 そこは間違いないようだ。クラードはナチュレと言う人を探している。ではアデリアは?
「そこでなんでアデリアが反応するわけ?」
「!!! アデリア!? ナチュレ様がおられるのですか!?」
 そこだよそこ!
「ですから私はここに……、あっ! そうか。あれから変わったんだ……」
 変わった? 何の話だろうか。変わったと言えば……変わったと言えば……アデリアの姿? 姿、あっ! もしかすると……。
「クラード隊長、話が少しずれてしまったことお詫び申し上げます」
「??? 何故貴方がやまるんですか? それにクラード隊長って。私はナチュレ様を探しているまででして……」
「そこです! そこが少し間違っているんです」
 やっぱり、アデリアが……。そっかそっか、納得だ。羽衣は……、無理だな。???って感じかな。姿を見ればすぐ分かる。
 ナチュレって人が誰か考え込んでるなきっと。
「ですから、そうではなくて!」
「自己紹介からはじめます。私の名は……アデリア・ナチュレ。陛下の側近の一人です。……貴方の探しているナチュレは
私のことです、クラード隊長」
「!!! ナチュレ様!? いや、しかし……お姿が、その……。……本当にナチュレ様なのですか?」
 アデリアは胸元から何かを取り出した。
「その紋章は……」
 それはペンダントだった。俺にはよくわからないが、そこには何かの紋章が刻まれていた。
 そのペンダントは初めて会ったときからアデリアがしていたものだった。そこに刻まれた紋章。クラードにはこの紋章の
意味が分かったようだった。
「失礼致しました! ナチュレ様とも知らずに無礼の数々! どうかお許しください!」
「無理もありません。この姿で貴方に会うのは初めてです。……信じていただけて幸いです。この姿の説明は……全てが終わってから」
「承知いたしました。……真月の血の者よ、ナチュレ様を守っていただきありがとうございます!」
 いや……礼を言われるようなことじゃない。俺はまだまだ未熟だ。アデリアに助けられっぱなし。礼を言うのはこっちのほうだ。
「……全てが終わってから。礼を言うなら陛下を守って、この街を、王宮を救ったら……改めて御礼をもらうよ。仲間全員でね。
それまでは……。アデリアが見つかった今、次のステップに進めると思う。……ここを救おうじゃないか」
 クラードは言葉を出さず深く頭を下げる。言葉を出さなくてもその意味は分かる。……ありがとう。そんな感じだろう。
 でもそれを受け取るのはまだ後だ。今は、全てを救うまでは……。
「あと、俺のことは滝と呼んでくれてかまわないから」
 さてと、次のステップに行くためにわっと。クラードに話を聞く。クラードのことはアデリアに任せていいだろう。
「クラード隊長、陛下の元に行くまでに状況の説明をお願いします」
「了解しました。では陛下の元に急ぎましょう。その間に説明も終わると思います」
 ぐずぐずはしていられない。行くべき道が決まったなら行動しよう。走ればすぐにつくだろう。……道が平坦ならね。
 ともかく話を聞きつつ陛下の元を目指そう。

 街の状況は皆さん見てきたと思います。……敵が攻めてきたのです。
 敵がどこから攻めてきたのか、どれぐらいの勢を率いていたのか、何故いきなり現れたのか、……情報は不足しています。
 正直な話、敵が来た、それ以外は何も分かっていません。しかし、おそらくは……GMウイルスの勢。
 敵は自分たちのことを、「GMV(ガンヴ)」と名乗りました。おそらくこれがGMウイルス軍勢の正体と言うことでしょう。
 そのガンヴはラングレー陛下を狙ってきました。……おそらく目的は、陛下の殺害と思っていいでしょう。
 ですが、そう思っていたのは最初だけ。次第に敵の数も増えてきて、街も襲われました。
 この王都の破壊、真の目的はそこだと皆感じてきました。

 陛下は自分よりも街を守れといいますが、そうも言ってられません。
 陛下はみんなの希望です。先の争いのこともありますから、皆さん不安がっていました。
 ですがその不安を陛下が取り除いたのです。……陛下が一度街に降りたということです。
 何かされていたようですが、その詳細は分かりません。……後で陛下に聞くのがいいでしょう。
 陛下が街に降りられたことで、街全体が活気付きました。まだ負けられない、そう思ったのでしょう。
 ですがやはり民間人です。われわれのような訓練を積んだ人間とは異なります。……助けが必要と言うわけです。

 ここからは憶測です。
 敵が来たのには何か目的があると思います。街の破壊以外の何か。それが何かは分かりません。
 もしかしたらそんなものないかも知りません。ですが、陛下には何か感じることがあったようです。
 もし他に目的があるならば、それを守る必要があります。……憶測はこのあたりでやめましょう。

 目の前に謁見の間が見えてきた。クラードは陛下はここにいると言っているから、もうすぐ陛下の下に着くということになる。
 陛下には護衛がついているというが・・・まだ安心は出来ない。俺達はまだ陛下を確認していないのだから。
「陛下……どうかご無事で……。今、参ります……」
 アデリアの声が聞こえてしまった。
「大丈夫だから。俺たちがいるじゃないか」
 俺は小声でアデリアに返す。ひっそりと。アデリアには意味が通じたみたいだった。……少し表情が変わった。

 扉の前に着いた。
「開けます」
 クラードが扉を開けてくれる。大きな扉なのに一人で開くもんなんだな……、っとそんなことはどうでもいい。
「よし……行こう!」
 アデリアの合図で扉に入った。周りを見た感じはあまり変わっていない。ああ、大きく破壊はされていないという意味だ。
 多少の崩れや痛みと言うものはある。だが、他の場所に比べると全然だ。おそらくここに陛下がいるからなんだろう。
「ただいま戻りました。陛下ご無事ですか!?」
「クラードか。私は大丈夫。それより……!!!!……アデリア……か!?」
 陛下には……分かるのだろうか?
「……はい。アデリア・ナチュレただいま戻りました」
「乗り越えられたのだな。……よく頑張った、アデリアよ」
「私一人の力ではありません。この二人が……滝と羽衣がいたから、私は乗り越えることが出来ました」
「……良い仲間にめぐり合えたみたいだな。……礼を言うぞ、滝、羽衣よ。アデリアを救ってくれてありがとう」
「いえ、お礼をいただけるようなものでは御座いません。私達は仲間だから。一緒にいる仲間だから。
救ってあげたかった、ただそれだけです。滝ちゃんも同じ考えだと思います」
 俺は頭を下げる。当然だ。仲間を救えなくて仲間といえるか? いや、言えない。考えは羽衣と同じだ。
「……そろそろよろしいでしょうか? 事態は一刻を争います。ナチュレ様もお帰りになられた。陛下、まずは
この状況を打開しましょう」
 確かにそうだ。再開を味わうのもいいが、まずはすることをしないと。
「ラングレーとやらよ。貴方がこの国を治めているのか?」
「そうだ。……君は?」
「私の名前はハクアだ。そんな事より次の行動……、」
 突然扉の向こうからサーシャが走ってきた。そういえばここにいなかったな。何をしてたんだ?
「敵が攻めてきました。見た感じGMウイルスを使用されていると思います」
 攻めてきただと!? 俺は扉の向こうを見た。……大勢の足音、走ってくる……。まったくもってのんびりはしていられないようだ。
「いろんな話は後にしませんか? 今は……奴らを何とかしないと!」
「滝の言うとおりですね、陛下。私達は街を見てきました。……それだからこそ! 一刻も早くこの状況を変えないと」
 街か……何とか助けに行きたいけど……。……いけるだろうか?
「……わかった。街の民を守るのも、私の仕事だ」
「では、目指すはガンヴの大将です。大将を倒せばおそらくは」
 順当な作戦だな。大将が全てを束ねている。だったらその元をたたく。さすがは隊長と呼ばれているだけはあるな。
「大将はおそらく、北の高台にいます。先ほど確認をしました」
「北の高台……。街からは離れるのか……」
「では、皆さんは最短ルートで高台に向かってください。私は王宮からの地下ルートで高台に向かいます。
おそらく地下にも敵がいますので、一掃しつつ向かいます」
「ちょっと待ってくれ!」
 俺は声を上げる。……このままじゃダメなんだよ。……助けが必要なんだ。
「街の……救援に行ってはダメですか? ……やっぱりほっておけないって言うか……」
「滝ちゃん♪ ココココ♪ 私達がいるじゃない♪」
「真月の血を引いている滝がガンヴの大将とやるんだからね。私達は最大限のサポートをする。……滝が望んでいることなら
なおさらね」
 みんな……。
「……滝、いい仲間だな。私達……十魔もきっと喜んでいる。……では私がまとめさせてもらう。
滝と私で最短ルートで高台に向かう。羽衣とアデリアが街の救援をしつつ高台へ。クラードとやらは別ルートで高台へ」
「ありがとう……みんな。……それで行こう。ハクア、サーシャは元に戻してもいいよ。このままじゃハクアが辛いだろ?」
 ハクアは知ってたのかといい、サーシャを体内に取り込んだ。たぶんハクアは……この中で一番強い。俺なんかより遥かに。
 サーシャは自分の力と引き換えに出していたんだと思う。それに真月の血を理解している。完全なハクアがいてくれると心強い!
「じゃあ滝ちゃんまた後でね」
「必ず、合流しよう」
「それでは私も行かせていただきます」
「滝、行くぞ」
「よし! みんな、俺達でこの世界を守るぞ!!!」
 俺達はそれぞれのルートで高台に向かうことになった。みんなの期待にこたえるんだ! ガンヴは……俺が止める!


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*注:自主制作な為、矛盾点や脱字、誤字などが存在しているかもしれません。そういった点があればお知らせいただけると幸いです。

☆感想やご意見などもお待ちしております。矛盾点や誤字脱字による修正メールもお待ちしております。
精一杯対応したいと考えております。TOPページにメールアドレスを掲載しているので、そちらから御願致します☆


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