聖なる夜の贈りもの 聖なる夜の贈りもの



今夜は友達と一緒に過ごすことになった。ちなみに今日は12月25日。巷ではクリスマスと囁かれている日だ。
まぁ僕達にとってはあまり関係は無いけど。いつもどおり友達と遊ぶ、ただ日付がクリスマスなだけ・・・。

「ちょっと外の空気吸ってくる。」

僕は一人外の空気を吸うことにした。やっぱあれだけの人が一つの部屋にいると空気が悪くなるもんだな。
空を見上げると満天の星空。僕は星を見ながら近くの公園までたどり着いた。

「やっぱり、この場所が一番よく見えるな・・・。」

この公園の奥にある秘密の場所。ほとんどの人はここには来ない。そこには一本の大きな木が立っている。
大きな大きな木。ここは僕にとって特別な場所。言い方を変えると・・・、

「秘密基地ってところかな。」

子供っぽいかな? でもそう思うんだからしょうがないよな。
僕はその場に寝転ぶ。ここはいい感じに芝がなっていて気持ちいいんだ。

「クリスマスか・・・。今年は何があったっけな・・・。印象に残っていることは・・・、なんだろうな。今年もあっという間だったな。」

そう、何の事件もなく無事に過ごせた今年。でも・・・何かが足りない気がしてるんだよな・・・。
そのとき唐突に声が聞こえる。

「ねぇ・・・。」

僕は跳ね起きる。どこからの声だろう。あたりを見渡してみるけど誰もいない。・・・空耳かな?

「ねってば・・・。」

今度ははっきり聞こえた。でも周りには人はいない。

「クリスマス・・・だからかな。」

僕は月を見上げた。今日はクリスマス。不思議なことが起こってもいいかな、なんて心のどこかで思ってた。
それがこんな形で聞こえてくるなんてな。不思議なもんだ・・・。

「何ぶつくさ言ってんの??」

一瞬僕は目を疑った。月を見上げていた僕の目の前に一人の少女の顔が。この子は・・・だれ?

「話しかけてるんだから答えてよね。」

「う、うん。まぁ・・・その・・・。特には意味はない・・・かな。」

「そっかそっか。じゃあ行こう♪」

少女は僕の手を取り走り出した。何がなんだかよくわからない。

「いた! 捕まえろ!!」

「え!? 何々!?」

「私ね今あの人たちに追いかけられてるんだ。だから逃げなくちゃね。」

僕を巻き込んで・・・ね。でも・・・退屈してたし、こんなクリスマスも悪くは無いよな。

「よし! 逃げよう! つかまらないうちに早く行こう!」

僕達は走った。それが妙に楽しかった。逃げたり、隠れたり、攻撃してみたり。ずっと笑ってた気がした。
何故だか分からないけどドキドキした。楽しい・・・そう感じたのかな?
イレギュラーな出来事、僕が心のどこかで望んでいた不思議な出来事。楽しいクリスマスだな♪

「はぁはぁ・・・もう・・・追ってこないかな?」

「もう・・・大丈夫みたいだね・・・。」

結局僕達は走り回って同じ木の所に戻ってきた。

「なんかよく笑ってた気がするよ。・・・お互いにね。」

「・・・・・・。私ね・・・、ちょっと皆とは違うんだ。」

唐突にどうしたんだろう。違う? 見た感じ普通に見えるけど・・・。

「私と一緒にいると願が叶うらしいんだって。クリスマスに起こる不思議な力。
私にはそんな力がるんだって。私は・・・普通じゃないんだって。」

「何でそんなこと僕に話したの?」

「・・・楽しかったからかな。君になら話してもいい気がした。久しぶりに楽しかったんだよ。
だから・・・もっと君と一緒に居たいなって思ったの・・・。ずっと一緒にいるのに、秘密事はよくないしね♪」

なんだ・・・そっか。君も楽しかったんだ。

「僕もね・・・楽しかったんだ。久しぶりにこんなに走って、笑って・・・。君といて楽しかった。僕も・・・ずっと一緒に楽しんでたいって
思った。」

「今日はクリスマス。君の願はきっと叶うよ。・・・私と一緒にすごしたからね。今日は・・・ありがと♪」


目が覚める感覚がした。夢・・・だったのか? 周りを見渡してもさっきの少女はいない。・・・リアルな夢だな。
でも・・・楽しかった。夢でも楽しかった。

「・・・もっと一緒に笑ってたかったな・・・。」

僕は・・・惹かれてたのかな、あの少女に。確証はない・・・そんな感じがしただけ。
あ! そういえば言ってたっけ。クリスマスに起こる不思議な力。君と一緒にいたから願が叶うって。

「願ってみようかな・・・。君ともう一度会って、楽しいって思える時間をすごしたいな。」


今日はクリスマス。聖なる夜。不思議なことが起こるそんな夜。サンタさんが現れるそんな夜。
僕のところにも不思議なことは来たのかな。僕のところにもサンタさんは来たのかな。

「やぁ♪ また会えたね♪」

やさしく微笑む少女。

「願は叶ったのかな?」

雪が降ってきた。少女がこの雪を運んできてくれた気がした。ホワイトクリスマスになったな。
  不思議な出来事。それは誰にでも訪れること。特別なクリスマスに起こること。

最後に

素敵な聖夜を貴方に





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